緑内障について
2026/08/28
どんな病気?
眼の中では「房水」という水分が常に作られ排出されることで眼圧(眼の中の圧力)が一定に保たれています。房水は通常眼の外へ流れ出ていきますが緑内障になるとこの房水がうまく排出できなくなり眼圧が上昇することで視神経や網膜が障害され、視力を失う可能性がある眼科疾患です。
こんな症状があったら注意
・眼が赤くなった
・眼をしょぼしょぼする
・涙が増えた
・眼を触られるのを嫌がる
・黒目が青白く濁ってきた
・瞳孔が大きくなった
・物にぶつかるようになった
・眼が大きくなったように見える
特に急に眼が赤くなって痛そうにしている場合は要注意です

原発性と続発性があります
①原発性緑内障
眼そのものの房水排出機構に問題があり発症します。遺伝的な素因が関係する犬種もあります。犬の中では柴犬に多く認められます。
②続発性緑内障
別の疾患が原因となって眼圧が上昇します。
例えば、以下の疾患がもとになって緑内障を発症することがあります。
・白内障
・ブドウ膜炎
・水晶体脱臼
・眼内出血
・眼内腫瘍
・網膜疾患
特に犬では白内障や水晶体脱臼に伴う続発性緑内障も重要です。
診断
もっとも重要な診断方法は眼圧測定です。
正常眼圧はおおむね10~25㎜Hg程度ですが、測定機器や状況によって変動します。
さらに、
・眼科検査
・隅角検査
・眼底検査
・超音波検査
・視覚反応の確認
などの検査を組み合わせて原因や視覚が残っているかを評価します。
治療
治療の目的は眼圧を下げて視神経を守り、痛みを取ることです。
点眼薬
もっとも一般的な治療法です。
眼圧を下げるために目薬を使います。
状態によっては1種類だけでなく複数の目薬を何回も使うことがあります。
・炭酸脱水酵素阻害薬
・β遮断薬
・プロスタグランジン関連薬
などがあります。
注射
急激に眼圧が上昇している場合には、点眼だけではなく、静脈内注射などを組み合わせてできるだけ早く眼圧を下げます。
特に急性の緑内障では視力が残っている時間が限られる場合があり、眼圧を下げるまでの時間が重要になります。
手術
薬を使っても眼圧を十分にコントロールできない場合は手術を検討します。
・緑内障インプラント・・・房水を排出しやすくする手術
・レーザー治療・・・房水を産生する毛様体をレーザーで処置して眼圧を下げる手術
・硝子体内注射・・・薬剤を眼球内部に注入することで眼圧を下げる治療
・眼球内/強膜内プロテーゼ・・・原因となっている内容物を処理して人工物を入れる手術
があります。それでも改善が認められない場合は眼球を摘出する手術が必要になります。
緑内障は、「眼圧を下げれば治る病気」ではありません。
一度障害された視神経は基本的には元に戻らないため
早期発見→できるだけ早く眼圧を下げる
ことが非常に重要です。
また、片目が原発性緑内障になった犬では反対側の眼にも発症するリスクがある為正常にみえる眼についても定期的な眼圧測定が推奨されます。
すでに視力が失われている場合
緑内障が進行して視力が失われてしまった場合目標が「視力を取り戻す」ことから
「痛みをなくして快適に生活できるようにする」ことに変わります。
眼圧を下げる治療を続けていても下がらずに痛みが持続する場合には最終的に眼球摘出を行う必要があります。強い痛みを抱え続けている場合、その痛みから解放してあげるためには必要な治療法となります。
動物は片目が見えなくなっても慣れてくると普通に生活できることが多いです。
眼球摘出について
眼球摘出をする方法は2通りあります
①眼球だけでなくまぶたや眼瞼も含めて摘出しそのまま皮膚を閉鎖する方法
眼があったところが少しくぼんだ感じになることがありますが、これは見た目の問題で動物自身が痛いというわけではありません。
②眼球を摘出後インプラント(義眼)を入れる方法
眼球を摘出した後の眼窩にインプラントを入れることでできるだけ自然な顔貌になるようにする方法があります。
ただし、
・感染がある又は感染リスクが高い病気を持っている
・眼の腫瘍が疑われる
場合はインプラントを入れられません。
先日当院で眼球摘出後にインプラントを入れたワンちゃんです。

様々な治療を行いましたが眼圧が下がらず、痛みによる活力の低下や食欲の減退が認められたため眼球摘出を行いました。
術後は元気になり、食欲も改善しました。
一覧に戻る
